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JIS
ここでは、日本工業規格(JIS)について説明します。「JIS」とは工業標準化法で定められている国家規格のことです。適合製品にはJISマークと呼ばれるJISをかたどったマークが付与されます。
日本における工業規格の歴史

明治時代、もともと日本には定まった工業規格はなく、様々な民間団体がそれぞれに工業規格を定めていました。軍需品をはじめとする政府調達品には政府の規格がありましたが、本格的に日本の国家標準の工業規格が定められたのは1921年に工業規格統一調査会が設置されて以降のことです。
本調査会は1941年までに520件の旧JES規格を制定しましたが、主に軍需品の生産性効率のために臨時日本標準規格(臨JES)が定められました。戦後には、戦前、戦中のJES規格を新しく整備して、工業標準調査会による新しい日本規格(新JES)が登場します。
現行のJISは、1949年に新しく設立された日本工業標準調査会(JISC)によって設置されることになったのですが、日本で最初のJIS規格に定められたのは、「JISC0901 電気機器の防爆構造(炭坑用)」でした。現在JISCは、経済産業省設置の審議会となっています。
JISの意義と日本標準史
工業標準化法では、製品の形、大きさ、性能、測定法規などを「標準化」していくことを決めています。標準化とは、一定の「標準(取り決め)」によって統一していくことで、「規格(取り決め事項を文書化したもの)」によって定められています。JISマークによって標準化した製品であることを示すのは、品質を保証するもの、安全を保証するもの、国家・国際規格を遵守していることを証明するものなど様々です。
標準化の役割
こうしたJISによる製品の標準化によって私たちの社会には様々なメリットが生まれます。
- 標識や単位など、共通した単位を利用すること互いに理解しやすくなる。
- 電池やコンセントなど、製品やメーカーが異なっていても同様に利用できる。
- 消しゴムや鉛筆などの品質や性能を保つ。
- シートベルトやヘルメットなど、事故や危害を阻止する性能を担保する。
- 駅ホームの視覚障害者誘導用ブロックなど、社会ニーズを実践する。
など、私たちの身の回りにある様々なものがJIS規格を取得しています。
JIS規格制定の手続き
JIS規格は、以下のような流れにそって制定されます。
- ①原案作成委員会による原案作成
- ②主務大臣によるJISCへ原案提出
- ③JISCによるJIS原案の審議・議決
- ④日本規格協会が「規格票」を出版
- ⑤主務大臣によるJISの制定
主務大臣は、JIS発行の対象となる製品によって異なります。
原案作成委員会は、業界団体や日本規格協会、あるいは国からの依頼によって結成されます。JIS認証の製品の生産者や消費者、販売者や利害関係の無い人など様々な立場の人が選ばれることになります。また、JISは取得した場合でも5年以内に見直しが必要となります。5年間の運用の上で改正されたり廃止されたりすることもあります。
消費者の声がJIS規格を変える
消費者の声がJIS規格を変えることもあります。その例として、冷蔵庫における消費電力の規格があります。消費者から、冷蔵庫の消費電力がカタログの数字よりも高いことが指摘され、その原因を調べた結果、JISによる測定方法では使用されなかった野菜室のヒーターが電力を消費していることが判明し、JISによる冷蔵庫の消費電力の測定方法が付加機能を考慮していなかったことが認められました。
また、2007年にはジェットコースター事故などによってJISの検査基準がよりいっそう厳しくなりました。2010年のライターの安全基準の見直しによって、従来の使い捨てライターの販売禁止などが定められるなど、日々JIS規格は見直され続けています。JISCでは、常に消費者からの意見を受け付けています。また、JISの原案作成委員会に消費者として参加することも可能です。